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証券会社とIFAの違い、そしてIFA発展に向け心がけるべきこと

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証券会社とIFA、この2者はお客さまにとって取り扱う金融商品の分野が似通っていて見分けがつかないという人も多いかも知れません。だからこそIFAの認知度は外国に比べ未だ低く、業界の発展もいまひとつという実情があるのではないかと考えます。そこで今回はコラムの最後としてIFAが投資家からの信頼を得て、今後発展するにはどのような方策があるかを考えていきます。

目次

証券会社は金融商品取引業者、IFAは金融商品仲介業者

まず、証券会社とIFAの違いを整理します。一般に、証券会社は金融商品取引業者を指します。一方、IFAは金融商品仲介業者及び金融商品仲介業者に所属する登録外務員を指します。そしてIFA法人は一般に法人格を持つ金融商品仲介業者を指します。

この点については、以下の記事(「何が違う?金融商品仲介業と金融商品取引業」)で整理しています。

投資家が期待するIFAの姿とは

上述から証券会社とIFAの違いが大まかに整理できたと思います。これまでのコラムで何度か触れたとおり、IFAは日本においては認知されていないのが実情です。そもそもこのコラムでこのような説明を加えなければならないということ自体がIFAが認知されていないことです。
ここからは、証券会社とIFAとの違いを踏まえて、日本でIFAが認知され発展するための一つの考え方をご紹介したく思います。

IFAの存在意義を再考する

そもそも論ですが、一般の投資家にとって証券会社の社員とIFA法人に所属するIFAは見分けがつきません。逆に言うと見分ける必要もないのです。
どういうことかと言いますと、一般の投資家にとっては自身のライフプランを実現するための手段である金融商品へ投資し、その結果が同じだったとしたら、そのアドバイスをする人間が証券会社の社員であろうとIFA法人に所属するIFAであろうとどちらでも良い、ということです。

IFAが投資家の方におすすめする金融商品は、IFA法人が業務委託契約を結んだ証券会社の金融商品です。よって、証券会社の社員がIFA法人に所属するIFAと全く同じ商品を投資家にすすめるということが理論上はあり得るのです。そして全く同じ商品ですので運用成果は当然ながら同じになります。
ひょっとすると、IFAがすすめた商品の方が収益が悪化する可能性もあります。例えばAという金融商品を投資家が買うとすると、IFAが媒介すると手数料率が高く、投資家が証券会社から直接購入すると手数料率が低いもしくは手数料が無いというケースです。

そのような場合すらあるのになぜ投資家はIFAに依頼するのか?
それは「中立・公正さ」がIFAの「存在意義」であるからです。この「存在意義」を言い換えると、IFAは長期的な視点でどこまでも投資家のことを第一に考える「ライフプラン実現の伴走者である」ということです。
その視点が無いIFAは、金融商品の媒介をする単なる金融商品仲介業者であり、投資家にとっては証券会社との違いが実質的に無い一業者に過ぎません。

つまり、IFAは、常に投資家に寄り添う「中立・公正である存在」である視点を決して無視してはならないのです。決して所属するIFA法人を向く存在ではあってはならないのです。

この2022年は仕組債を巡る問題が多々報道されていました。昨今金融庁は仕組債の販売手法を問題視しています。一部のIFAはデリバティブを組み込みリスクやコストも見えづらいとされるこの仕組債を、購入に際して十分な投資に関する知識・経験がないお客さまに勧めるという顧客本位とは到底言い難い振る舞いをするIFAもいるようです。中立・公正な存在である真のIFAはこのような振る舞いを決してしてはならないのです。

IFAとIFA利用者とのギャップ

この投資家にとって「中立・公正である存在」にIFAがなるための一つのヒントというべき資料があります。
以前、こちらの記事(「転職希望者に注目集まるIFA、その強みと弱みとは?」)の文末で、「資産運用に係る投資家及びIFA アンケート調査結果(1)」という投資信託協会によるアンケートの調査結果を簡単にご紹介しました。

このアンケートはIFAとIFA利用者である投資家との認識のギャップを浮き彫りにした興味深いアンケートでした。
というのも、このアンケートでは、
日常IFAは投資家の方に接しているというのに、普段接していないであろうブロガーやYouTuberに「信頼できる、頼りになる存在」点で負けているという結果が出たのです。
極端に言えば、このアンケートに回答した投資家にとってIFAはそれほど信頼できる存在ではない、と解釈できるのです。


ひょっとするとこの背景には、IFAとIFA利用者との間の収益に対する認識のギャップが原因かも知れません。
というのも、別の質問項目である「(自身の/顧客の)投資信託の損益状況の認識」を見ると、IFA側は、

IFA の51%が、顧客は「全体としてかなり利益が出ている」と認識

(出典:投資信託協会「資産運用に係る投資家及びIFA アンケート調査結果(1)」より一部引用)

する一方で、投資家側は、

投信保有者の8 割超が、「利益が出ている」と実感している。投信保有者とそのうちのIFA利用者について、「全体としてかなり利益が出ている」、「全体としてやや利益が出ている」と回答した者の割合に差はほとんどなく、IFA を利用したことによる効果は認められない。

(出典:投資信託協会「資産運用に係る投資家及びIFA アンケート調査結果(1)」より一部引用)

とのこと。つまりIFAとIFA利用者の認識はズレていることが浮き彫りになっています。
言い換えると、IFAは投資家にとって「利益を獲得するという面では頼りになる存在でもない」という向きも考えられ、IFAの発展にとっては、一見由々しき問題と捉えられてしまう向きもあります。

ただ、むしろこのアンケート結果は、IFAの発展にヒントとなる示唆が得られるのです。
確かにIFAとIFA利用者の間には収益の捉え方に関してギャップがあるかも知れません。
しかし、このアンケートは投資家個別の状況を加味していないのです。ある人は短期的な収益を目指している過程でアンケートに答えたかも知れませんし、ある人は長期投資の過程での一期間を取り出したものに過ぎないかも知れません。よって、感覚的な収益の獲得状況をアンケートで質問してもそのギャップはあるのが当然ということが言えるのです。
何よりこのアンケート結果で大事なことは、IFAがある種公的な機関のアンケートに対して自信を持って利益を出ていると回答していたことです。そして、「その想いがIFAを利用する投資家に伝わっていない」ということなのです。アンケートそのものの結果ではなく、これこそがIFAの発展において由々しき問題ではないかと考えられます。

想いが伝わらなければ、いくら「中立・公正な存在」と称しても意味がないのです。

IFAはその存在意義である「中立・公正さ」についてもっと発信を

このコラムではIFAを取り巻く様々な事柄をご紹介してきました。そして、未だIFAは日本において確固たる地位の業種とは言えず、証券会社とIFAを混同する方々も未だ多いと考えられます。投資家の方々どころか金融界全体でもIFAについての認知度はいまひとつです。だから今回の記事でも、このコラム全体を通しても「IFAとは何か」という解説を手厚くしました。

このような現状であろうとも、個々のIFAは上述の投資信託協会のアンケート結果から分かる通り、「利益を出している」という誇りを持った存在であると考えられます。足りないのはその実力を投資家の方々に伝える発信力です。IFAの存在意義でありコアスキルである「中立・公正さ」が、現状は投資家の方々に伝わっていないのです。

そして単に「中立・公正さ」を目指すのであれば、数多くの金融機関が無償で提供しここ数年急速に日本でも普及しているロボアドバイザーで良いのです。
なぜ、IFAという人でなければならないのか?
それは投資家の方々との会話から投資家の方々自身も意識していなかったライフプランや投資ニーズを顕在化させるという行為こそが大切だからです。ロボアドバイザーのようにほんの数問の質問をするだけでは、お客さまの真のライフプランや投資ニーズというのは引き出すことはできないのです。投資家の方々との血の通った会話、人と人との会話があるからこそ、本当の投資ニーズは生まれるものなのです。

血の通った「中立・公正さ」、これがもっと投資家の方々に発信されると、IFAの業界は発展し、それが日本国民の資産運用への取り組みに寄与するものと考えます。

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