金融商品仲介業と金融商品取引業、「仲介」と「取引」だけが違う似たような名前なので見分けがつかない人もいるかと思います。しかしIFAとして活動するためにはその違いをしっかり区別しなければなりません。わかりやすく、それぞれの業種に該当する企業を当てはめると、IFAは金融商品仲介業、証券会社は金融商品取引業です。
このコラムではIFAへの転職を考えるにあたってその2つの業種の違いを解説します。
金融商品仲介業とは
金融商品仲介業とは、金融商品取引業者(証券会社等)と業務委託契約を結んだ上で「有価証券の売買等の媒介」等を行う業を指します。つまり特定の証券会社に属さず、中立・独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFAの業務のことを指します。
金融商品仲介業とは
ごく簡単に言えば、金融商品取引業者(証券会社等)の委託を受けて、「有価証券の売買等の媒介」や「有価証券の募集もしくは売出しの取扱い」などを行う業です。もちろんIFAは金融商品仲介業者です。
金融商品仲介業者の業務は、あくまで取引の勧誘や仲介、申込の受付等に限定され、契約の当事者にならないのがポイントです。よって、お客さまは証券会社等と契約し、お客さまの口座はIFAではなく証券会社等が管理します。
金融商品仲介業を営むには、金融商品仲介業者として内閣総理大臣の登録を受けること、その担当者は日本証券業協会の外務員登録を受けることが必要となります。
なお、金融商品仲介業者の数は令和5年6月30日現在で684社です。金融商品仲介業者の一覧は金融庁のホームページで確認できます。
金融商品仲介業のなりたち
2003年の証券取引法改正により、金融商品取引業者以外でも内閣総理大臣の登録を受け、金融商品取引業者の業務委託を受けることで、有価証券の売買等の媒介や、募集・売出の取扱を行う「証券仲介業」を営むことができるようになりました。個人投資家の裾野を広げることが主なねらいです。
そして、2007年9月の金融商品取引法の施行に伴い、「証券仲介業」は現在の「金融商品仲介業」に名称が変更されました。
金融商品取引業とは
ごく簡単に言えば、金融商品取引法に規定された金融商品を取り扱う業務のことです。なお、金融商品取引法は証券取引法を改正・改題した法律です。金融庁のホームページでは、
金融・資本市場をとりまく環境の変化に対応し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目指し、平成18年6月7日、第164回国会において、「証券取引法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第65号)及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(同第66号)が可決・成立し、 平成18年6月14日に公布されました。
この法整備の具体的な内容は、大きく分けて、
(1)投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築
(2)開示制度の拡充
(3)取引所の自主規制機能の強化
(4)不公正取引等への厳正な対応
の4つの柱からなっています。
(出典:金融庁ホームページより一部引用)
とされ、2009年9月に施行されました。
一般に、証券会社、投資信託委託会社、投資顧問会社等が金融商品取引業者と言われます。以下は金融商品取引法により規定されている4つの業種です。IFA法人はこのうち、主に第一種金融商品取引業(いわゆる証券会社)を営むIFAプラットフォーマーと業務委託契約を結んで業務を行っています。IFAプラットフォーマーについては後述します。
第一種金融商品取引業
いわゆる証券会社がこちらです。有価証券の売買(みなし有価証券を除く)、店頭デリバティブ取引等、引受業務、私設取引システムの運営、有価証券等管理業務などを行います。
第二種金融商品取引業者
集団投資スキーム等の自己募集、みなし有価証券の売買等、市場デリバティブ取引(有価証券を除く)などを指し、主に自己募集のファンドなどが営んでいます。
投資運用業
時折耳にされる「○○アセットマネジメント」という会社はこの投資運用業や投資助言・代理業が多い印象です。投資一任契約等に基づく運用、投資信託等の運用、集団投資スキーム等の運用等を指し、主に投資信託委託業者(運用会社)や投資顧問業者(投資運用業者)などが営んでいます。
投資助言・代理業
投資顧問契約に基づく助言、投資顧問契約や投資一任契約締結の代理・媒介等を指し、主に投資顧問業者(投資助言・代理業者)などが営んでいます。
これら金融商品取引業者は令和5年6月30日現在で1,962業者(うち第一種306者、第二種1,210者、投資運用業429者、投資助言・代理業996者)が登録されています。
金融商品取引業者の一覧は金融庁のホームページで確認できます。
IFAプラットフォーマーとは?
IFA法人と業務委託契約を締結し金融商品を提供する証券会社は一般にIFAプラットフォーマーと呼ばれます。主なIFAプラットフォーマーは、東海東京証券、SBI証券、PWM日本証券、楽天証券、あかつき証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券などです。
IFAプラットフォーマーはIFAが仲介するお客さまに金融商品を提供する他、IFAに対するサポートやコンプライアンスに関する指導等を行うまさにIFAのプラットフォームです。一方でお客さまへの損害賠償責任もIFAプラットフォーマーが負います。そのためIFAプラットフォーマー各社は業務委託契約を結ぶ際にIFA法人の審査を行っています。
これらIFAプラットフォーマーは自社による対面取引、ネット取引に加え、第三の販売チャネルとしてIFAを重要な販売チャネルとして位置づけているようです。
主なIFAプラットフォーマー各社の特色
上記に挙げた主なIFAプラットフォーマーである証券会社をIFAとの関わりを中心にご紹介します。
楽天証券
楽天グループ傘下でSBI証券に次ぐ規模のインターネット証券会社の2強です。IFAプラットフォーマーとして取組みは先進的で例えば2019年に開始した「管理口座コース」は、IFAによって投資商品を購入したお客さまの売買手数料を無料や低額とする代わりに、お客さまが預かり資産残高に応じ口座管理料を負担する仕組みです。
SBI証券
SBIホールディングス傘下のインターネット証券の最大手で、総合口座数や売買代金は大手総合証券各社に匹敵します。国内外の株式、国内海外の債券、国内外のETF、投資信託、FX、CFD、先物、オプション、PTS、貸株等を取り扱い、今や日本を代表する証券会社のひとつです。
あかつき証券
東証スタンダード市場に上場するあかつき本社傘下の証券会社で、2014年からIFA支援サービスを開始しました。
東海東京証券
本社を名古屋市に置く、独立系の準大手証券会社です。証券会社では中部地区最大のネットワークを持っています。地銀との提携により浜銀TT証券を始め全国各地に地銀との合弁証券会社を持つことも同社の特色です。
まとめ
以上、このコラムではIFAに関連して証券会社をはじめとする金融商品取引業者と金融商品仲介業者の違いを紹介しました。
IFAへの転職を検討する上で、どのIFAプラットフォーマーと提携しているIFA法人に所属するかは非常に重要です。
各社によって取り扱い商品やサービスが異なりますので、自身の提案スタイルに合わせて選択しましょう。
しかし、全国には約650社ものIFA法人があり、情報を取ることや比較することは難しいのが現状です。
また、「いくらぐらいの預かりがあれば良いのか?」、「金融機関時代の様なビジネスはできるのか?」等、IFAになること自体に対する不安の声も多くあります。
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